TSMC、半導体さらに値上げへ 3年間で11兆円投資計画(写真=ロイター)
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ソース: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM012AN0R00C21A4000000/
保存日:#中国・台湾 #エレクトロニクス #自動車・機械

2021/4/1 12:18 (2021/4/1 13:36 更新) [有料会員限定]

TSMCは世界の半導体不足の解消のカギを握っている=ロイター

【台北=中村裕】半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が2021年末の受注分から、顧客への値引きを中止することが、1日分かった。事実上の数%の値上げとなる。世界的な半導体需要の拡大に対応し、今後3年間で1000億ドル(約11兆円)の大型投資に踏み切る計画を顧客に対して明らかにし、製造コストが膨らむことを理由にしたという。

具体的には、今年の12月31日から1年間、顧客から半導体を受注しても、従来の値引きはしない。この内容をTSMCの魏哲家・最高経営責任者(CEO)の署名入りの文書で顧客に対して通達したと、台湾の複数の現地メディアが伝えた。

TSMCは1日、日本経済新聞の取材に対し、値引きの中止や、21年から今後3年間で1000億ドルの投資を行うことなどの事実関係は認めたうえで、「価格や顧客についてはコメントを控える」と語った。

TSMCが主力とする半導体の受託生産では通常、顧客から注文を大量に受けた場合、値引きをするのが慣例だ。例えば、TSMCが米アップルや米クアルコムなどの主力顧客からスマートフォンやパソコン向けの半導体生産を依頼された場合、「数%程度の値引きをするのが一般的だ」(関係者)。

今回の決定は、この値引きを中止する内容で、事実上の数%の値上げとなる。

世界的な半導体不足を受け、注文が集中しているTSMCや聯華電子(UMC)などの台湾メーカーはすでに、顧客から緊急受注を受けた場合、1割程度の値上げを要求しているという。今回の措置はそれに続く対策だ。半導体の価格上昇は今後、最終製品の価格に反映される可能性がある。

TSMCは21年、過去最高の280億ドル(約3兆円)の設備投資を予定する。新工場の建設ラッシュが続いているが、半導体の供給不足の解消は見通せていない。事業の急拡大で人材も不足し、今年は過去最高の9000人を採用する計画だ。台湾には現在約5万人の社員がおり、約2割の大幅増員となる。関連コストの上昇を半導体の相次ぐ値上げで補いたい方針だ。